一般的なメス犬の避妊手術では、卵巣と子宮を外科的手術によって摘出します。オス犬の去勢手術では、精巣を外科的手術によって摘出します。ともに、全身麻酔をかけたうえで行ないます。
手術のときに全身麻酔をかけるので、術前の健康診断や体調などが重要になります。飼い主は獣医師に、どのような麻酔で、どのような手術をするか、術後の管理、手術にかかる時間や費用、メリット・デメリットなど気になることは事前に質問して、自分の頭でよく理解をしてから手術をしましょう。
新しい避妊法にはデメリットもあります
最近は、メス犬のために新しい避妊法が出てきています。6か月ごとのホルモン注射、避妊薬をインプラント(埋め込み)する方法などです。
ホルモン注射とインプラントのメリットは、麻酔時のリスクがないこと、避妊法を中断すれば再び繁殖できることなどです。
両者に共通するデメリットは、病気の予防に対する効果が獣医学的に確立されていないこと、費用が手術に比べて割高であることです。さらに、長期にわたって薬による避妊を行なうことにより、体重増加、脱毛、子宮蓄膿症、肝障害を発症する場合もあることが報告されています。また、薬剤による避妊法は無発情期でも6か月ごとに継続しなければならず、特定の病気のときには使用できないなどのデメリットがあります。インプラント法は、1年ごとに交換しなければならず手間がかかるし、犬の負担になります。新しい避妊法を選択する場合は、かかりつけの獣医師とよく相談をしてください。
インプラント法では避妊するときに使う「ジースインプラント」(帝国臓器製薬株式会社)
ホルモン注射として使う発情抑制剤の「コビナン」(三共ライフテック株式会社)
トイ・プードルに多いといわれる膝蓋骨脱臼やレッグペルテスってどんな疾患?
療語骨脱臼は膝蓋骨がはずれる疾患です
犬のひざの関節部位にある膝蓋骨(ひざのお皿・パテラ)は、大腿骨滑車(受け皿)とかみあって、ひざの関節を形成しています。膝蓋骨が大腿骨滑車からはずれることを、膝蓋骨脱臼といいます。内側にはずれる内方脱臼と外側にはずれる外方脱臼がありますが、内方脱臼は、トイ・プードルに多発します。
脱臼していても、飼い主が気づかないうちに膝蓋骨が正常な位置に戻っている場合や、脱臼したまま膝蓋骨がもとに戻らず、周囲の骨、筋肉、靭帯の変形を伴ってしまった場合など、症例は様々です。
先天性と外傷性(後天性)があります
先天性は、大腿骨滑車の異常で滑車が浅かったり、成長期の膝関節周囲にある筋肉群が不均衡な発育をしていたりするケースがみられます。先天性はトイ・プードルに多いといわれており、ほとんどが出生時にうしろ脚をクロスさせています。両脚に発症することも多いです。
外傷性は、落下や転倒など急激な圧力により、膝蓋骨周辺の筋肉や靭帯を損傷して発症します。
ケンケンしたら要注意
症状は、疼痛、脚をひきずってあるく、痛む脚をかばってケンケンをするように歩くなど、脱臼の程度によりまちまちです。慢性のときは無症状で、犬がうしろ脚を屈伸させて、脱臼の生じた関節をもとの正常な位置に直そうとする行動などもみられます。
治療法はさまざまです
一過性の脱臼で、無症状の場合は経過を観察します。疼痛が激しいときは、内科的療法で消炎鎮痛剤を使用します。重度の運動機能障害がみられるときは外科的療法を施しますが、脱臼や骨の変形の程度により、適応する手術法が異なります。
レッグペルテスってどんな病気?
設関節を形成する大腿骨の骨頭(骨盤と接触している丸い部分)が壊死したために起きる関節の病気です。大腿骨頭壊死ともいいます。
原因は不明ですが、遺伝、栄養障害などが考えられます。生後6~12か月くらいに発症することが多く、発症した方の後ろ脚を痛がり、筋肉が整縮したり、脚をひきずって歩いたり、歩きたがらなくなったりと、壊死の程度により症状はまちまちです。症状を見て、レントゲン検査で診断します。温存療法では、消炎鎮痛剤を使用します。完全に痛みを取るためには、大胆骨頭を切除するなどの外科的治療をします。
※膝蓋骨脱臼のことを「パテラ」と呼称する本がありますが、パテラというのは「膝蓋骨」を指します。膝蓋骨脱臼の英語での病名は、Patellar Luxationといいます。
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