腎不全(じんふぜん)
【症状】
腎臓の働きが低下して、老廃物が十分に排出されずに体内に蓄積。
そのまま進行すると全身的な尿毒症を引き起こし、死にいたります。
急性腎不全が悪化すると、尿毒症の程度に応じて元気がなくなり、食欲不振、吐き気や嘔吐などの症状が現れます。
病状が徐々に進行する慢性腎不全の場合はあまり症状が現れません。
【治療】
急性腎不全の場合は特に、すぐに病院に連れていくことが重要です。
感染症などが原因ならば、その治療を行い、尿量を増やす薬を与えます。
重い電解質異常*、脱水症状が起こっているので、点滴で水分補給をし、透析をする場合もあります。
慢性の場合は塩分、リンを控えた特別療法食で進行を遅らせます。
*ナトリウムやカリウム、リンといった電解質は、腎臓の働きでバランスを保っています。
腎臓に異常があってこのバランスがくずれ、正常値を逸脱した状態が「電解質異常」です。
肛門囊炎(こうもんのうえん)
【症状】
肛門の両側(4時と8時の方向)には「肛門嚢(こうもんのう)」という独特のにおいのする分泌液をためておく袋状の部分があります。
排便のときに分泌液も出してマーキングをするのです。この分泌液がうまく排出できず、化膿する病気が肛門嚢炎です。
たまりすぎると袋状の部分(嚢)が破れ、まわりの組織に炎症を起こすことがあります。
痛みや不快感でおしりを床にこすりつけたり、排便しにくくて痛がったりします。
【治療】
化膿している場合は膿を出して、炎症がおさまるのを待ちます。
ただ、ほとんどの場合が慢性化し、嚢が破れて周囲の組織に炎症を起こしますから、ただちに嚢を取り出す処置を、この手術に慣れた獣医師にしてもらいましょう。
シャンプーをするときは、たまっている分泌液を定期的に絞り出し、分泌液がたまらないように注意しましょう。
膀胱炎(ぼうこうえん)・尿道炎(にょうどうえん)
【症状】
細菌感染や、結石や腫瘍ができて膀胱や尿道の粘膜が傷つき炎症を起こします。
尿をためるところに炎症を起こすのが膀胱炎、尿を排泄する管の部分に炎症を起こすのが尿道炎です。
排尿が困難になったり、排尿時に痛みが出たり、血尿が出る場合や発熱することもあります。
【治療】
遺伝的に問題があると起こりやすいため、まずは精密検査を行います。
尿検査やX線検査などで原因をつきとめ、細菌感染の場合は抗生物質や抗菌剤などの投与で治療します。
特に、造影精密検査(造影剤を投与して行う、より精密なX線検査)が安全にできる病院で受診するといいでしょう。
結石が原因の場合は、外科手術することもあります。
不妊・去勢で防げる病気もある
成年期からシニア期を通して起こる生殖器の病気は、ホルモン分泌の異常と大きく関係しています。
生後2~4カ月の早期に去勢・不妊手術を行うと、それらの病気のほとんどを予防することができます。
オスよりもメスのほうが、宮蓄膿症や乳がんなど、命に直結する病気が発症しやすいので、繁殖をさせない場合は早期(2~4カ月)に不妊手術をしてあげるといいでしょう。
費用は高くなりますが、今日では腹腔鏡手術により、傷が小さく痛みも少ないので傷の回復も極めて早くなっています。
オスの場合も去勢することで、前立腺肥大、細菌性前立腺炎、肛門周囲の腫場、さらには精巣腫瘍などの予防効果が期待できます。