白内障(はくないしょう)
【症状】
物を見るときに焦点を調節する水晶体が白く濁ってきて、視力が低下する病気です。
進行すると、最終的に失明することもあります。
最も多いものとして、生後数カ月~数年で発症する「若年性白内障」があり、まれに、先天的なもので生まれつき水晶体が濁っている「先天性白内障」があります。
後天的な要因としては、加齢によって水晶体が濁ってくる「老年性白内障」が代表的ですが、糖尿病による代謝異常や、目のけがが原因となることもあります。
視力障害が起こるため、物にぶつかる、段差につまずく、散歩に行きたがらなくなる、体に触れられます。
【治療】
早めに検査を受け、網膜の異常を伴わないものは、すぐに外科手術(白内障手術)を受けることが重要になります。
視力障害がひどい場合は精密な検査を行った上で、手術を行うか検討します。
手術を決定した場合は、水晶体を摘出して眼内レンズを挿入する外科的療法が行われることになります。
ただ、この療法は手術費用がかかり、特殊な機器が必要です。
そのため、その機器があり、手術に慣れた専門医のいる病院を探すことが重要になります。
また、すでに網膜が萎縮してしまっている場合は、効果がありません。
手術前に獣医師とよく話し合い、回復の可能性や度合い、手術代を確認しておきましょう。
目の病気早わかりチェック~こんなときは病院へ
目の病気はさまざまです。
判断が遅れると失明にいたる場合もあります。
以下のことに気がついたら、獣医師に相談してみましょう。
□結膜が赤い(赤目)
□左右の色が違う…普段と違っているとき
□目やにがひどい
□涙があふれる
□目をしょぼしょぼさせる…目をあけられず、前足でかくようなしぐさがあるとき
□異常にまぶしがる…まぶしい光でもないのに必要以上にまぶしがるとき
□まぶたをさわると痛がる…ふれただけで痛がるとき
□歩くとき物にぶつかる…障害物をよけられないとき
□日中、瞳が白、赤、青などに見える…普段と違っているとき、左右の色が違うとき
□瞳の大きさが違う…以前は同じだったのに違いが見られたとき
角膜炎
【症状】
角膜表面が傷ついて炎症を起こし、痛みから目をしょぼしょぼさせ、瞬きや涙が多くなったり、目やにが出たりします。
また、目をこすったり顔を床にこすりつけたりすることでさらに悪化することが多いので、早く獣医師に見てもらいましょう。
症状が進むと目が充血し、瞳が白く濁ってきます。
目のまわりの毛が眼球に当たったりけんかで傷つけたりすることが原因となるほか、感染症によるものもあります。
ほうっておくと急性の角膜潰瘍(角膜表面だけでなく奥まで影響が出る状態)から角膜に穴が開いたり(角膜穿孔)、全眼球炎から敗血症を起こし、急死することにもなりかねない緊急の病気です。
おかしいと思ったらすぐに受診しましょう。
【治療】
まずは原因となるものを取り除き、炎症や感染を抑える薬を点眼します。
治療中は、目をこすらないよう注意が必要です。
流涙症(りゅうるいしょう)
【症状】
目を潤している涙は、目と鼻をつなぐ鼻涙管で鼻に抜けていきますが、その管が詰まったり(鼻涙管狭窄)、目の病気になったりすると、涙があふれ、目のまわりの被毛が赤褐色に変色するのが流涙症で、一般に「涙やけ」ともいわれています。
つまり、「涙やけ」は目の病気です。
必ず専門医に原因を確かめてもらいましょう。
【治療】
鼻涙管の詰まりを取る、角膜炎や結膜炎にかかっている場合は目薬や内服薬を使うなど、原因に合った治療をします。
普段は、目や目のまわりに炎症が起こらないように、コットンで涙をそっと拭き取り、ケアしましょう。
結膜炎
【症状】
まぶたの内側が充血して赤くなり、涙や目やにが出ます。
かゆみや違和感で目をこすり、目の周りが赤く腫れて痛みが出ることもあります。
目に毛や刺激物が入ったことが原因の場合や、細菌やウイルス感染のほか、アレルギーやドライアイ(乾性角結膜炎)による場合もあります。
【治療】
目に異物が入っている場合は取り除き、ウイルス感染の場合は、目だけか、全身の病気かを判断するなど、原因をつきとめ、それに合わせた治療が行われます。